ざれごと48  にゃんこさんの生命から

○わが家のにゃんこさんの失踪○


こんばんは、coroです。
coroは、今月末は遊び倒しておりました。
ハリーポッターを観て、としまえんに行き、彼の誕生日を祝い、
そして何も知らずに自宅へ帰宅。


coroの家には、10歳のにゃんこさんがいます。体重もほんの2kg
ちょっと、という身体の小さな、童顔のにゃんこさんです。


猫本来の気まぐれな性格でありながら、人の+−の気配を感じ取り、
慰めや励ましに近づいてくるという、人間ぽい一面も持った子です。


家に着いたcoroに投げかけられた言葉は、
「にゃんこさんがいなくなった。」


なぜ?
出かける前までcoroがよしよししてたにゃんこさんが?
まさか・・・。


その日はsisterが来る日でしたので、sisterにすぐに連絡しま
した。sisterは、取り乱すcoroの代わりにごくごく冷静に必要
な情報を弟から聞き出し、どこに探しに行くのかを確認してい
ました。
coroは泣きながらsisterと一緒に、にゃんこさんを探しに出か
けました。


呼んでも呼んでも、現れることもなく、coroのにゃんこさんを
呼ぶ声だけが、ひびいておりました。


近所の方も驚いて協力してくださり、近所のおじいちゃんがにゃ
んこさんの声を聞いた、という手がかりだけをもとに、付近の捜索
を続けていました。


2時間以上、近くを探したけれど、近所の人を巻き込んでの捜索は、
sisterに「これ以上は迷惑になる」といわれ、泣く泣くお礼を言って
見かけたら連絡をもらえるようにお願いしました。


でも、とてもじゃないけれど、あきらめきれなかった。
coroとsisterの呼びかけに、かすかな声が聞こえた気がしたからです。
気のせいだったのでしょうか。でも、coroはにゃんこさんの声だと感
じていました。「今、声聞こえたよね」sisterも同じように聞こえたよ
うでした。


「あの家のそばに、にゃんこさんはいる」


そんな確信を得ながら、しかし全く姿は見えず、声も聞こえず、とい
う状況の中で、消え入りそうな声を聞いたこと以外は手がかりがあや
ふやであり、その場では全く見つかる保障もありませんでした。


結局、その日のうちに見つけられず、不安なまま夜を迎えました。
夜も眠れず、ご飯も食べられないまま、にゃんこさんの無事を祈っ
ておりました。sisterもcoroを心配しながら、帰って行きました。


夜になり、冷たく強い雨と雷がなり始め、ますますにゃんこさんの
安否だけが、心底、気がかりでした。


普段外にでないにゃんこさんが、冷たい雨の中で、誰もいないとこ
ろで、のども渇き、おなかをすかせてないているのではないか・・・


野良猫や野良犬に追いかけられて、自分のいるところがわからなく
なってしまってはいないか・・・


雨よけの術を知らないにゃんこさんが、どうやってこの大雨をしの
げるのだろうか。ぬれて寒い思いをしているのではないか・・・


そう思えば思うほど、夜はcoroにとって憎らしく、そばに落ちる雷
はうらめしく思えてきました。そして降る雨に、一刻も早く、止む
よう祈ることしか、できませんでした。


泣きつかれたcoroは、そこで眠りについてしまいました。12時を過
ぎ、強い雨が降っている時間でした。
夜になり、にゃんこさんがいなくなってから、丸1日が過ぎてしまっ
ていました。




○にゃんこさんの夢○


coroは眠りについてから、夢を見ました。
晴れた日に、にゃんこさんが見つかる夢でした。
coroが笑ってにゃんこさんに駆け寄って行くのです。明るい場所で、
にゃんこさんもcoroの元へ急いで走ってきます。


その夢を見たcoroは、はっと目が覚めました。
はっきりとそのシーンが思い出せるほど、鮮明な夢でした。まるで
そこにcoroとにゃんこさんがいるかのように。


でも、目覚めたcoroの目の前には、当然にゃんこさんはいません。


そこでcoroは起きあがり、にゃんこさんの捜索のために準備を始めま
した。目が覚めたのは、朝6時過ぎでした。


雨は上がり、雲のすきまから、少しだけ陽がこぼれています。
でも、昼からは雨と天気予報で言っていたことだけは覚えていました。


捜索はなんとしても雨が降り出す前にしなければ。
そして、「必ず探し出してみせる」と心に誓いました。



○にゃんこさんの新たな捜索○


朝早すぎる捜索は大声で呼びかけるために迷惑なので、9時から捜索
することに決め、弟を引っ張り出して捜索を始めました。


近所の人も気にかけてくださっており、朝早くから、畑や道端の捜索
をしてくれていました。


coroと弟も捜索を開始しました。
呼べど呼べど、返事もなく、昨日の雨がにゃんこさんの体力を奪って
いたのではないかと思うばかりでした。


その場では全くにゃんこさんの気配も感じられず、近所の人の家に捜
索に入っていたところ、でかけるというので、捜索を断念しました。


どこに行ったのだろう。


その思いを抱えながら、一度帰宅しました。



○必死の捜索と・・・○


でも、あきらめきれるわけもなく、coroはにゃんこさんが、絶対に入っ
ていかないだろうと思っていた藪と山の捜索をすることを決めました。


もう一度coroは、弟と捜索場所に戻って、あたりをつけていた家のそば
にある藪と山を捜索することにしました。


大声で藪の中に向かってにゃんこさんの名前を呼んでいました。
かすかに声が聞こえたような気がしました。でも、たくさんの野生の鳥
たちの声がこだまする中、絶対の確信はもてません。


今度は山に向かって。
coroは大きな声で呼びかけ、弟は山に登って様子を確認しにいきました。
大きな声で呼びかけ、そして何度も何度も呼びかけました。


山の中から、かすかににゃんこさんの声がします。


「そうだよ、そうだよ、こっちにおいで!!!!!!!!!!」


そう叫びながら、励ますようににゃんこさんの名前を呼び続けました。
声が心なしか近づいてきます。姿は見えません。


田舎なので、ヤマカカジなどの危険なヘビや漆などがそこかしこにあり、
弟に大声で注意を促しながら、捜索を託していました。


coroが弟に聞こえるように、
「声が聞こえる!!!!近くなってきた!!!」


と叫びました。


にゃんこさんも頑張って鳴いています。
「こっちだよ!!こっちだよ!!」


coroも必死でした。叫びながら、姿は見えないけれど、もうすぐそこに声
が聞こえてきていました。


弟に、登り始めたところの付近ににゃんこさんがいることを叫んで伝えま
した。coroはにゃんこさんの姿を確認できていませんでしたから、聞こえて
くる声に対して、ただただ必死に名前を叫び、coroの存在を伝え、危なくな
いように、「そこにいて!!!」と叫んでいました。


とても長く感じる時間でした。
弟も足元が悪い中、必死に捜索しています。高い場所から、coroの指示通り
にスタート近くに向かって下りてきました。
にゃんこさんも、必死に鳴いて自分の存在を知らせています。


「お前、そこにいたのか!!!!!!!!!」


弟が小さなにゃんこさんを抱きかかえ、下りてきます。
にゃんこさんの姿を見たcoroは、安堵から、泣き叫びました。
「良かった!!!!!!!生きてて良かった!!!!!」


そして弟からにゃんこさんを受け取り、滑り落ちながら下りてくる弟に、
「落ちないでよ!!!気をつけてよ!!!!」と声をかけながら下りてきてもらい
ました。


にゃんこさんのぬくもりと、怪我もなく、身体もぬれていないことにホッ
として、泣きながらなでました。


近所で最も心配をさせてしまったおばあちゃんのお家へ、にゃんこさんを
つれて、ドロドロのままで挨拶に行きました。


見つかったことをとても喜んでくれました。頭を下げ、何度も何度もお礼
を言い、おばあちゃんに見送られながら帰りました。


にゃんこさんを抱きかかえ、泣きながら、この小さな生命の重みを噛み締
めて、自宅に戻りました。



○にゃんこさんに与えられたもの○


にゃんこさんは1日半ぶりに帰宅しました。
奇跡的に、雨にうたれることもなく、野良猫や野良犬にかまれたりすること
もなく、無事でした。


家に着いたとたん、家の変化をチェックし始め、新たに用意しなおしたご飯
を食べ、水を飲み、おしっことうんちをして、涼しい階段でお昼寝をしました。


なんて当たり前の光景で、愛しい時間が流れたか、言い知れません。


その後、にゃんこさんの耳の裏にダニを発見し、つぶしたので夕方に動物病院
へ連れて行き、フロントラインをつけてもらい、何事もなく帰宅しました。


病院から戻り、おばあちゃんの家にささやかなお礼を持って、心からのお礼を
申し上げてきました。


ああ、にゃんこさんと過ごした時が、こんなにも私たちの心の一部になり、にゃ
んこさん自身がどんなにかかけがえのない存在であったかを思い知らされました。


そして、このにゃんこさんの生命は、他の人間の家族の生命と比べることはでき
ないのだということもはっきりとわかりました。


人だから、動物より大切な生命だとか、動物だから、人よりあきらめがつきやす
い生命だとか、そんなことはないのです。


「生きている」


そんな当たり前のことが、最も大きな意味をもっている。


「関わっている」


そのことが、私たちにかけがえのない存在をつくっていく。



coroは、そのことを深く感じながら、今トイレの前で転がっているにゃんこ
さんを眺めています。


日記も長くなりましたが、にゃんこさんを見つけるまでのたった1日半が、coro
には本当に長かったです。
そして、本当に奇跡がもう一度、にゃんこさんと私たちを引き合わせてくれた
ことに感謝します。


これからも大切ににゃんこさんと生きていきます。